企業理念

Nobody knows unless you will challenge

 30歳までに米国のジャーナリズムを観てみたい。8年間働いていた会社を休職、ワシントンD.Cの大学に行き、授業のかたわら国立公文書館で戦前の闇のなかに封印されたままの爆発赤痢菌事件を調べていた。公文書館のディレクターに昭和初期の事件を調らべていると説明したところ、笑われた。米国ではすでに情報公開法を施行、ケネディ暗殺事件以外はどんな極秘文書でも25年を経過したものについては一般に公開。戦時中の日本とドイツの通信を傍受していた資料なども一般に公開されていた。およそ20年前(1987年)の話だが、こうした情報公開の考え方は、当時の日本という国の在り方を含め国家の主役は誰なのか、日米の違いを考えされられた。

 平成元年UTCを設立。私にはいったい何ができるのか。競争優位性はなにか。また、どのような仕事をすれば、人々を喜ばすことができるのか。8年間の記者生活は、読者のためにという大義のもと、少しは社会のためになる仕事をしたのではないか、と若干の自負はあった。商売とはほとんど縁遠い存在の私であったが、貿易という仕事はともに情報を扱うという共通項があった。若干の留学経験をいかしまだ日本で紹介されていない「いいもの」を海外で見つけ出し、日本に紹介していく仕事は、人々から喜ばれるのではないか。それは記者が特ダネを探すようなもの。会社設立の原点だ。

 UTCは福岡、東京、ニューヨークと会社自体も転々としたが、それもひとつの挑戦の証し。常に何かに挑戦していく会社でありたい。矛盾する話だが、会社は安定をめざす。が、それとともに変化しつづける存在でなければならない。この20年の社会の変貌は、インターネットをインフラとして成長産業さえ大きくかえた。より便利な社会を追求する競争は、常に社会を変貌させていく。人のこころまで変えてしまうのは論議を呼ぶが、社会、生活は変貌することが常なのだ。

 「挑戦と創造」。UTCは、この言葉をバックボーンにひるむことなく、あらたなことに挑戦してきたい。

ユニバーサルトレード株式会社
代表取締役社長 佐藤 靖博